鬼部長と偽装恋愛はじめました
週末、悶々と先のことばかり考えていて、あまり楽しめなかった。

最初こそ、母の勝手なお見合い話に腹もたったけど、地元の人で仕事も続けていいと言ってくれた佐原さんを勧めようとしたのは、母の気遣いだったのかもしれない。

「本城、ボーッとしてるか?」

祐平のドスの聞いた声に、今は勤務中だったと思い出す。

いけない、祐平に決裁の押印を貰いに来ているんだった。

「なあ、本城。この報告書、不備があるからって、今説明したよな? 聞いてたか?」

「あ、あの……」

ヤバイ……。ひとつも聞いていなかった。

部長デスクの前で固まる私は、なにも言い返せない。

すると、祐平の怒号が飛んできた。

「お前は、なにしにオレのところまで来たんだよ。不備は自分で見つけろ。オレはもう、説明しない」

報告書を突き返されて、自己嫌悪でいっぱいになる。

「申し訳ありません……」

私、いったいなにやってるんだろう。

起きてもない問題に、ひとりで振り回されて、カラ回りしてる……。
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