歌姫の君に恋をした。
「なあ」

2人きりになって気まずかったのか暫くの沈黙があった。
でも輝夜の声に少々驚いた美春だったが「何?」と返事をした。


「昔の約束覚えてるか?」


昔の約束。
それは“結婚”の約束だ。
『迎えに行く』と言ってくれた輝夜君。
忘れるわけがなかった。
だって私の生きる理由なのだから。

「覚えてるよ」

そういった美春の言葉に輝夜は嬉しそうな顔をする。


「あのさ…」


少し何処か弱きな輝夜。
言葉に力が入ってないっていうような、何処か怖がっているような…そんな感じだった。



「美春はもう16…俺はあと少ししたら18になる」
「うん」


美春にとってこれから輝夜の言うことは大体想像ついていた。
だから大人しく話を聞いた。
いくら時間がかかったって答えはただ1つだけど…。
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