歌姫の君に恋をした。
「いってぇ…」


屋上に座るなり顔を歪める輝夜。


「大丈夫ですか?」
「あいつら…ぜってー許さねぇ…」


怒りで自我を失っている輝夜。
こんな輝夜を見るのは初めてだった。

「柊人とか言いましたよね。
なんか美春さんと深い関係だったみたいですが…」
「それより優は大丈夫なの?」

ずっと黙っていた結斗が優に話しかけた。
“大丈夫”とは杏奈の事。
先程の杏奈の言葉について優に話しかけていた。


「大丈夫ですよ。
ちゃんと杏奈と話し合いますから…」
「無理はするなよ」
「輝夜…はい…」


輝夜は怒りを抑え目を伏せた。
結斗は屋上に大の字で寝転び目を閉じていた。


なぁ、杏奈。
もし颯がお前の事許さなくても俺は許してもいいか?
やっぱり俺にはお前が必要だから…___



優は1度空を見上げ目を瞑った。
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