How much?!


「ねぇ、このスカート短過ぎない?」

「そうですか~?そんな事ないと思いますけど」

「そう?だって、膝頭が完全に“こんにちは”してるよ?」

「フフッ、何ですか~?その例え」

「えぇっ?」

「いいですか?先輩」

「ん?」

「先輩は美人だし、スタイルも良いし、仕事も出来るし、手先も器用だし、面倒見も良いし」

「何なに?お小遣いが欲しいの?」

「もう!そんな話してないじゃないですか~」

「あぁ~はいはい、ごめんごめん」


私は人に褒められるのが何よりも苦手。

就職戦線を勝ち抜いて、やっとの想いで勝ち取った今の職場。

しかも、憧れでもあった大手量販店に就職出来て、私は有頂天だった。

だから私は無我夢中に仕事に打ち込み、気が付けば、今じゃ『お局様』と呼ばれるように。


だって今時の新入社員だなんて、遣る事成す事全てにおいて遅いし、中途半端だし。

何より他人転嫁のオンパレード。

そんな自己責任も取れないような人に、大事な仕事は任せられない。

仕事は努力して当たり前、遣る前から愚痴るなんて以ての外。


そんな風にプライドを先行してたら、気付けば、周りから敬遠されるようになっていた。

まぁ、上司からは信頼されてるし、仕事が楽しいからそんな事は全然気にならないけどね。



そして、今着ている服は、昨日志帆ちゃんがわざわざ私の自宅まで来て、フルコーディネートしてくれたもの。

別に会社の忘年会にお洒落をして行かなくてもいいのに、彼女曰く『どこに王子様がいるか分からないですよ?』と熱弁され、仕方なく彼女の好意を受取った。


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