夢月求道ですけど…なにかぁ?
第五章〔求道 男ぶりを上げる!〕


二日前、求道は


「ここの〜…耳の上の所から、髪が生えてきてぇ…」


…と、何やらボヤいていた。




それにしても…“髪が伸びてきて”なら解るが“生えてきてぇ”って…なんなんでしょ…。




「今年も、あと何日もないから、床屋さんに行っといたら?」


と、うながしてみた。


「…んっ!そうだな!!」


上頬の筋肉をキュッと上げ、笑顔を作っている求道の顔は、幼い、鼻タレ小僧のように見えた。





そして、今日。


床屋さんで髪を切って、男ぶりを上げた求道は、とても御満悦で帰って来た。


…手に何か持っていたようなぁ…





家に入るなり


「床屋の父さんから“太ったんじゃないかぁ〜?って言われたよぉ。あっはは♪」


と、声高らかに笑って言ったのである。
< 12 / 13 >

この作品をシェア

pagetop