再会のそのときは･････

『……な……！ 那奈！』


『……』


私はボーッとしていた。


頭の中が真っ白になって、人形のようにボーッとしていた。


私に声をかけてくれている子の声にも反応できないくらいに……。


すると……


ーーーパチン！


『痛っ！』


私の顔に激しい痛みが走った。


『いい加減にしてよ！ 那奈だけじゃないんだよ？ 苦しい思いしてるのは私も同じなんだよ？ 』


『……』


頬をおさえて黙ってることしかできなかった。


確かに辛い思いをしてるのは私だけじゃない、そんなことはわかってる。


ただ違うのは彼氏彼女の関係だっただけ。


……そんなの……わかってるよ。


ーーーガタン！


『那奈！』


私を呼ぶ声を振り切り、教室を飛び出した。


何やってるんだろう……。


心配してくれてたのに絵梨香に嫌われるようなことしちゃった。


私どうかしちゃったのかな……。


泣いている顔を隠しながら学校を立ち去ろうと階段を走って降りる。


そんなときだった。


ーーードン！


『わっ……！』


前を見ていなかった私は階段でつまづいてしまい、何かにぶつかって落ちた。


『痛ってぇ……。テメェ何しやがる！』


不意に怒鳴り声が聞こえて怖くてビクっとなってしまい、目が合って泣き顔を見られたのもあって私は何も言わずにその場から逃げ出してしまった。