年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
交代でシャワーを浴びて、自然な流れでベッドになだれ込む。

もう何度も繰り返した祥裄とのキスは、官能とか興奮を呼び起こす恋人同士のキスじゃなくて、親愛の情を伝え合うような、家族としてのキスだった。

馴染んだ肌に、手を沿わせる。

からだの表面は熱を帯びて汗の粒を浮かび上がらせるのに、からだの奥はなぜだか、冷めていた。


「……なんか、上の空?」

むき出しの私の肩を撫でながら、隣に寝転んだ祥裄が問う。


「物足りなかった?」


からかうような声音の中に少しだけ滲んだ不安を感じ取って、私は閉じていた目を開けて祥裄の目を覗き込む。

「いーえ。充分です。……絵里ちゃんともこんなふうにしたのかなー、と思って」

ふざけて言ったつもりだったのに、途端に祥裄の顔が不機嫌そうに歪んだ。

「冗談でもそういうこと言うなよ。俺が怒る筋合いじゃないのはわかってるけど、ちょっと気分悪い」

「ごめん」

さすがにデリカシーが無さすぎたか、と反省した。笑い話にするには、まだ日が浅すぎる。

そう思って、なんだかおかしくなった。
……祥裄でさえ嫌だと思うのに、私はどうして、こんなふうに平気でその話ができるんだろうか。
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