年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
話の途中で口を挟んだ私に、咲さんが訝しげな目を向ける。

「もしかして、告白すらされてないんですか? あいつ、スタイリストになるまで告白しないって言ってたの、バカ正直に守って……」

「ううん、告白はしてもらったんだけど。でも、私は半年前に会ったのが初対面だと思ってて、その前に会ってたなんて全然知らない」

「大輔から何も聞いてないんですか?」

「うん」

はああ、と咲さんがため息をついて、あいつバカだ、と呆れたように呟いた。

「あのですね、大輔はさ……」
「ストップ」

話し始めた咲さんと私の間に、グラスを持ったマスターの手が伸びた。


「なんでっ?」


私と咲さんが同時に不服の声をあげて睨むのを、マスターは飄々と受け流す。


「それは沙羽ちゃんが直接大輔から聞かなきゃダメ。おいそれと外野が話すことじゃない」


はい、マティーニ、と咲さんの前にカクテルグラスを置いた。


「お前だって、いつから片想いしてますなんて、他の人間からあいつに話されたら嫌だろ?」

「それはそうだけど……」
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