年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
――祥裄と別れた経験を、ちゃんと自分の糧にできてるんだな。


製図のヒントを教えてあげると、絵里ちゃんはすぐに理解して、ありがとうございますと言って自分のデスクに戻っていく。どうやら少し残って勉強していくらしい。


その後ろ姿に、声をかける。


「絵里ちゃん」

「はい?」

「祥裄のこと、まだ好き?」


振り返った絵里ちゃんは、大きな目を瞬かせてから、にこっと笑った。


「はい。……だから後悔させてやるんです。沙羽先輩より私のほうがいい女だったって」


その笑顔は晴れ晴れとしていて、強い意思を持った、『いい女』の顔だった。
< 292 / 462 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop