年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
不自然に止まった足音を不審に思ったのか、大輔くんが体を起こした。こちらを振り向いて、止まった人影が私だと気付くなり、くりっとした目をさらに大きく見開いて、動きを止める。


「大輔、くん」


私がまだ整わない息で大輔くんの名前を呼んだ。

その瞬間。

大輔くんがいきなり立ち上がって、私とは反対方向に走り出した。

「ちょ、ちょっと待っ……」

脱兎のごとく逃げ出す彼を追いかけるべく、条件反射のように足が動き出す。


「待ってよ、なんで逃げるのよ!?」

「沙羽さんが追いかけてくるからでしょうっ?」


すでにそこそこの距離を走っていた私の足はもう限界寸前、大輔くんが止まってくれる気配はない。いつもより高めのヒールがさらに足をもたつかせて、あ、マズイ、と思ったときにはもう、不自然に目線の高さが下降した。
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