初恋

幼馴染

アルバイトを探そうと思ったけれど、
案外と短大というのは忙しいものだとわかった。

2年で履修しなくてはいけない単位が多くて、
自然と毎日、講義の予定がぎっしりつまることになる。

どこかのひま人とは大違いだ。

わたしが外国語学科に入学したことを告げると、
そのひま人は「高校生みたいな生活になるで」と笑った。
ほんと、高校生みたいに朝から夕方まで学校にいる。

はあ。

学生になったら、バイトして、おしゃれして、
それから…、なんて楽しいことばかり考えていたけど、
世の中はそうもうまくはいかないみたいだ。

あれから直ちゃんとはメールばかりの、
大阪にいた頃みたいな付き合いが続いている。

もっとも、直ちゃんいわく、「まだまだ下っぱ」なので、
朝から晩までお店にいるから仕方がないんだけど。

大阪にいた頃と違ったことは、
直ちゃんにメールすると、りゅうさんからもメールが来るようになったことだ。

おれにもメールして、とかそんなことだったり、
なおは寝てます、だったり、
ほんとに入り浸ってるんだってことがわかった。

女の人といるよりはいいけど、
直ちゃんがどうしてあの人と仲良くしてるのか不思議だ。

悔しいから、まだ一回も返事をしていない。

短大部は、いくつかの学科があってそれごとにクラスに分かれている。

初日に、わたしは自分のクラスに懐かしい友達がいることを知った。

松田樹里ちゃん。
幼稚園は違ったけど、小学校で同じクラスになったことがある。

この大学は学生の数が多い。
きっと、地元の友達で入学してきている子はたくさんいるんだろう。

ともかく、わたしたちは再会と、
一緒に講義を受ける友達ができたことを喜び合った。

留美ちゃんなんかはわりと、一人で行動したりすることも多いみたいだけど、
わたしはどちらかというと、「トイレにも友達と行く」タイプの人間だ。
とにかく、友達ができたことにほっとして、
毎日元気に学校に通うことができた。
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