ひとくせ、ふたくせ。



――2年前。



『さーて、今日も長かったわねー』



『先輩、飲み過ぎです。いくら主役だったとしてももう水のように飲んでたでしょ』




『だーって。祝!就任でしょーう?今度は課長の座を目指すわ』



『野望が丸見えです』



あの日は確か、先輩が営業のグループリーダーになった時の祝宴だった。


先輩のグループになった西山、私、先輩と同期の早乙女先輩(すっごく美人)、同じく先輩と同期の田村先輩(ナイスガイ)で、3件ほど居酒屋をはしごした。




先輩は浴びるように酒を煽り、それを2人がもてはやす。



私たち後輩にとっては地獄絵図だった。



ものの無残に先輩たち2人はつぶれ、二人の介抱を西山がし。


まだまだ飲むわよー!と一人場違いなテンションを浴びせるオカマ先輩を成敗する役目が私だった。






『ゴホッ、今度は日本酒じゃなくておしゃれなバーがいい』



『・・・』



少し頬が上気した先輩に無言でミネラルウォーターを押し付けた。



『あっ、つめたー・・・気持ちいい・・・というか、』





ん?先輩・・・熱い?



『あれ、くらくらする・・・』




『えっ?!』




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