ひとくせ、ふたくせ。


―――



「ん・・・」



頭が重い。さっきよりくらくらする。



腕時計を見ると彼女が出て行って1時間経っていた。



どうやら寝てしまったようだ。



彼女に買ってもらったペットボトルの表面に水滴がついていた。



喉かわいたし・・・



のろのろとキャップをひねりぬるくなった水を傾ける。


水滴が手について、冷たくて気持ちよかった。




「あー・・・」



半分ぐらい飲み干してそのまま倒れこむ。



どうも寒気が止まらない。


一人でいることは当たり前なのに、なぜか虚無感というか、寂しい・・・何考えてんだ俺。




女々しすぎんだろ。この格好で女々しいとかどうかと思うけど。




「あー・・・結菜・・・」




「なんでしょう」




ガチャリ。急にドアが開いてひんやりした風が吹き込んだ。




「え・・・」




「お待たせしました。交渉、成立です」



一言そういって微笑む君は







きっと何よりも素敵だ。








「・・・・お疲れ」





ああ、彼女がそばにいるだけで、さっきの寂しさや虚無感が嘘のようになくなっていく。




愛しさがこみあげてきて、でもこんな格好でかっこつけられなくって




頭に手を置いてやる。




あー・・・ひんやりしてて気持ちいい・・・





目の前がかすんで・・・あ、蓋閉めてないのに力・・・






そのまま、意識を手放した。
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