続・元殺し屋と、殺し屋

*姫という光









☆知紗side☆





目が覚めた先にいたのは、見知らぬ男の子。

誰…その前に、ここはどこ?

あたしは体を起こし、辺りを見渡す。

そこは、広いけど殺風景な部屋だった。

物が極端に少なく、薬品の匂いが漂う。





「おはよう、知紗」

「…誰?
何であたしの名前を知っているの?」

「それは、おれが知紗の彼氏だから」

「彼氏…?」



あたしに彼氏がいたの?

でも、覚えていないよ…何も。




「知紗、おれのこと覚えてる?」

「…ううん」

「そっか。
じゃあ、落ち着いて聞いてね」

「うん」

「まず、おれの名前を言おうか。
おれの名前は、新野大地。
知紗はおれを、大地って呼んでいたよ。

おれと知紗は同じ高校の1年生。
クラスは違うんだけど、おれは知紗のことが好きになって、告白した。
でも当時知紗は、他の男と付き合っていたんだ。
知紗もソイツもお似合いのカップルで、知紗も幸せそうだった。

おれは知紗が好きだけど、知紗がソイツを好きだって知っていた。
知紗は勿論おれを断った。
おれ諦めきれなくて、友達でいてほしいって頼んだんだ。
そして1度で良い、おれとデートしてほしいってね。
知紗はそれをオッケーした。

おれと仲良くデートをしているうちに、知紗はおれが好きになった。
それで彼氏の元へ別れてほしいって言いに行ったんだ。
でも、ソイツは、知紗を思い切り殴って、知紗の気を失わせたんだ。

ソイツはどこかへ逃げ、残ったのは意識を失った知紗とおれ。
おれは知紗の家を知らなかったから、ここのおれの家に連れてきたんだ」





あたしは…彼氏に記憶を奪われたの……?

あたしは泣きだした。






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