続・元殺し屋と、殺し屋







―――首筋に、何かひやりと当たる感覚がした。

驚いたのも一瞬で、すぐに冷静さを取り戻す。

動いたら………死ぬから。

私の首に当てられている物はきっと…刃物だから。





「…大人しくしろ」




低い声が後ろからする。

…大人しくしているんですけど、と思う。




「静かに歩け」

「………」




抵抗する気は全くないので、連れ去られるまま歩く。



本当はポケット内に、護身用として小型ナイフを2本ほどはいっているけど。

無駄な騒ぎにはしたくないので、黙って指示に従う。






着いたのは、図書室内にある準備室。

普段は鍵がしまっているはずだけど扉は開き、後ろの人は私を準備室へと連れ込む。

後ろから、ガチャンッと言う音がする。

…鍵を閉められた。



私は澪鵺や恭真のように、ピッキング能力は持ち合わせていない。

持っていたとしても、ヘアピンなど鍵になりそうなものはつけていない。

…誰かに見つけてもらうか、この人に出してもらうかの2択しかない。



人通りの少ないことで有名な図書室。

先生も滅多に来ないので、無事出られるか心配になるな。



運悪く携帯電話も教室だし。

まぁ、なかなか教室に戻らないことを不審がる人がいると良いけど。



今は少々危険な状態だから。

大人しく、抵抗もせず、この人の指示に従おう。

焦って殺されたら、元も子もないから。



まぁ、

殺される前に、私は私を守るけどね?







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