続・元殺し屋と、殺し屋






借金返済のため結婚したんだと気が付いた新しい母親は。

当たり前だけど、父親を恨んだ。

当然の結果だと思う。

父親の母親を守りたいという気持ちだけで、結婚し、血の繋がらない息子を受け、捨てられたのだから。

母親の気持ちは、痛いほどわかる。

…だからと言って、僕に暴力を振るうのは間違っている。




僕は母親から度重なる暴力を受けた。

ご飯はもらえない。

もらえたとしても、人間が食べるものじゃない。

賞味期限切れなどではない。

虫や幼虫、そんなものばかり、僕に出した。

…信じられなかった。

それからだと思う。

僕が人間を憎むようになったのは。





全員憎んだわけじゃない。

憎んだのは僕らを捨てた父親と、借金地獄に陥った母親と、その家庭事情を知る新しい学校でのクラスメイト達。

クラスメイト達は、僕をいじめた。

お金がない、あるのは借金だけという理由だけで。

僕のせいじゃない。

何度も言った、泣き叫んだ。

…でも、僕の哀しみが届くことはなかった。





ある雪降る夜。

僕は酒に溺れた母親に、家を追いだされた。

半袖短パンの、夏に着るようの服のまま。




寒かった。

凍死するかと思った。

止まったら死ぬ。

そう思い、僕はひたすら歩いた。






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