シオンズアイズ
何故なら、どの国も商人には寛大で、いくつかの質問と許可証があれば、大抵は問題がなかったからだ。

リーディックは馬を貸してほしいと来たシオンを見て、頷きながら手綱を渡した。

「コイツはおとなしいヤツだし、乗りやすいからすぐに上達するぜ」

シオンは少し笑って礼を言うと、馬を連れて出ていった。

リーディックは均整のとれたシオンの後ろ姿を見つめながら想像した。

あの、絞り上げたような腰を掴んで激しく攻め上げたい。

フワリとした栗色の髪をこの手に絡ませて思う存分弄んでやりたい。

カイルは邪魔だが、シリウス様がいない今、七色の瞳の乙女ばかりに構っていられないだろう。

近々、楽しませてもらうとしよう。

リーディックは想像しながら眼を細め、声を出して笑った。
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