短編集『秋が降る』
続いて、『火事です、火事です』という男性の声でのアナウンスが。

その後、扉からガチャッという音が聞こえた。

走って扉に行くと、開いている。

迷いなく扉を押して外へ。

一気に夜の空気につつまれた。


「やった・・・」


景色は夜。
暗くてよく見えない。

それでも私は全速力で走る。

「飯野さんっ!」
異変に気づいた誰かの叫び声が聞こえたが、振り返ってなんていられない。

必死で夜を裂くように走る。


走れ! 走れ! 走れ!

< 104 / 156 >

この作品をシェア

pagetop