嘘つきなあなたからの恋文。
-プロローグ-






目を開けると、そこは学校の誰もいない教室。

窓際の列の1番後ろの席で、誰もいない空間に私は1人ポツンと座っていた。


不思議な空間。


自分の顔を触ると、ハリがあるし、シワだってない。

服装も中学の頃着ていたセーラー服。


暫くしてこれは夢なのだと気づいた。



冷静に夢だと理解すると少しはあった焦りも消え、この空間を懐かしむ気持ちだけが残った。

そんな私に横から声が掛かった。



『小池さん』


『…っ……何?小田くん』



夢でもこんな事あるんだ。


突然現れた小田くんに驚いて一瞬息をするのを忘れた感覚に襲われた。


でもそれは本当に一瞬で、すぐに震える唇を動かし返事をした。


ずっと夢でも良いから逢いたいと思ってた彼にやっと出逢えた。


…こんな良い夢見れるなんてこの先の運はもう期待しないでおこう。



『この席で、小池さんが隣。本当に懐かしいね』


夢でも小田くんはあの頃の定位置、私の隣の席で、



『うん…….そうだね』



服装も、年齢も、中学生のあの頃に戻ってるのに小田くんの発言はまるで今言うような発言で少し戸惑う。


まるで現実のコタくんといる気分だ。



『ねぇ、小池さん』


『なに?』


『君は僕のことどう思ってた?』



そう私に問いかける小田くんは思い出と同じ温かい眼差しで私を見つめていて、



『嘘つき、本当は分かってるんでしょ?』



あなたはバカね。


なんでそんなこと聞くの?


それもこの席で…?


あなただって私の気持ちに気付いていたでしょ?


私は小田くんに笑顔を向けた。


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