嘘つきなあなたからの恋文。








「へぇ…それで気付いたわけね」


「……全部、今岡さんのおかげなのよ」


今岡さんの気持ちに気付いていたのに、あたしもつくづく酷い奴だ。


「でもさ、なんで今岡さんは席交代したわけ?
コタくんのこと好きだったんだろ?」


今の蒼の様にずっと私もそのことについて疑問に思っていた。

その疑問が解決したのは高校3年生の時だった。


「中学を卒業して高校3年生の時、偶然街で今岡さんと会ってその時に教えてもらったの。

コタくんに…彼に私と席を替わってもらいたいって頼まれたってね」



『ずっと小池さんに教えてあげったかったんだけどね…私、オダくんのことが卒業しても未練がましく好きだったから教えるのに抵抗があったんだ。

意地悪しちゃってごめんなさい』


そう言って今岡さんは街中なんて関係無しに涙を流していた。


「…なんだか……うん」


曖昧なことしか言えない蒼の気持ちは十分に分かった。

好きな人から隣を遠回しに拒否された様なものだ、況してや思春期。

今考えたら切ないよりは辛すぎる。


それでもあの子はコタくんが好きだった。


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