私の師匠は沖田総司です【下】

「まさか総司が女に花束をやるときが来るとはな。それを渡されたとき、変な物でも食ったんじゃないかって心配になった」

土方さんが可笑しそうにクッと喉を鳴らす。

彼におちょくられる組長の姿が容易に想像できますね。

しばらく組長をおちょくるネタになりそうです。

「とても嬉しいです。ありがとうございます、と組長に伝えてくれませんか?」

「いいぞ。じゃ、花瓶に活けてくるから、飯食ってろよ」

「はい」

花束の代わりにお膳が置かれる。今日の夕食の献立はいつも通りお粥です。

今日は美味しそうな赤い梅干しが乗せてあります。

土方さんは花瓶を探しに部屋から出て、私はまた部屋に一人になる。

少しお膳のお粥を見つめた後、私は木匙を手に取ってお粥を口に入れた。

……いつもより、食べられる気がする。

組長から花束を貰ったからかはわからないけど、いつもよりスルスルと食べられる。

そして、数日ぶりに私は食事を全て食べることができた。
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