私の師匠は沖田総司です【下】
泣き止んだ後、私は子供の頃のように師匠の胡坐の間に座りながら、幕末での生活を話していました。
「本当に組長が野菜を食べなくて苦労しましたよ」
『ごめんね。どうも野菜とかダメで……』
「でも、私が作るみたらし団子は美味しく食べてくれました。後ですね……」
幕末の生活は1年も経っていないけど、とても濃くて簡単に思い出せる。
師匠は私の話を楽しそうに聞いてくれて、話す私も楽しくなってしまう。
こうやって、師匠と落ち着いて話すのは久しぶりだな……。
現代では当たり前だったけど、幕末だと師匠に会えても少しの時間だったし。
「えへへ」
『どうしたの?』
「師匠とこうやって話せて嬉しいんです」
寄り掛かると、後ろから腕が伸びてきてギュッと抱きしめられる。
普通の人よりも冷たい身体。
けど、心は優しい春の日差しに包まれているようにあたたかくなる。