私の師匠は沖田総司です【下】

泣き止んだ後、私は子供の頃のように師匠の胡坐の間に座りながら、幕末での生活を話していました。

「本当に組長が野菜を食べなくて苦労しましたよ」

『ごめんね。どうも野菜とかダメで……』

「でも、私が作るみたらし団子は美味しく食べてくれました。後ですね……」

幕末の生活は1年も経っていないけど、とても濃くて簡単に思い出せる。

師匠は私の話を楽しそうに聞いてくれて、話す私も楽しくなってしまう。

こうやって、師匠と落ち着いて話すのは久しぶりだな……。

現代では当たり前だったけど、幕末だと師匠に会えても少しの時間だったし。

「えへへ」

『どうしたの?』

「師匠とこうやって話せて嬉しいんです」

寄り掛かると、後ろから腕が伸びてきてギュッと抱きしめられる。

普通の人よりも冷たい身体。

けど、心は優しい春の日差しに包まれているようにあたたかくなる。
< 243 / 267 >

この作品をシェア

pagetop