夫婦ですが何か?Ⅱ





ああ、驚く・・・。


瞬時に回想した記憶に。


同じ車の振動の中の記憶。


あの時も・・・私の体調を案じての行動だった。


きっと、今も・・・。




「・・・・・・大変だったね、」


「・・・・」


「・・・・恐い思いさせないように黙って、隠して。怒らせて、泣かせて。・・・・・・結局、こんな目に合わせちゃった・・・」


「・・・・」


「・・・・・・ごめんね。・・・千麻ちゃん、」



何故・・・あなたが謝るのですか?


あなたは、結果はどうであれ私を守ろうとして必死だったのでしょう?


こんな怪我までして。


なのに、


謝ることなど一つもないのですよ?


でも多分・・・あなたは本気で自分に非があるように心から悔いての今の言葉なのでしょうね。


そんな馬鹿な人ですからあなたは。


でもそんな馬鹿だから・・・私は幸せな気持ちになるんです。


一度目蓋を下しゆっくりと息を吸う。


気持ちを切り替えるように一瞬だけは彼の抱擁に浸ってからゆっくり光を通し口を開いた。


「戦争・・・」


「ん?」


「・・・・戦争は・・・延期です」


「・・・・フッ・・延期?・・・中止かと思った」


「何うやむやに逃げようとしているんですか?」


「だって・・・大まかさっきの流れで分かったでしょ?」


「【大まか】です。・・・それにあなたの口からはまだ何も聞いてないんですから、」



軽く非難するような口調で言葉だけ弾き、言葉の嫌味に反してそっと彼の手に指先を絡めていく。


格指の間に自分の指で埋めていき、それでも私が握るより早く彼の指先が私の手をギュッと握る。



「・・・・・早く・・・家に帰りたいね、」


「・・・・そんなに戦争がしたいのですか?」


「フフッ・・・そうかも。・・・早く戦争して、千麻ちゃんのお怒りといて、・・・・夫婦漫才したい」


「・・・・・馬鹿ですね、」


「馬鹿だけど・・・それが俺たちじゃん?」



そうね・・・。


それが私達だわ。


彼の言葉に同調するように小さく笑うと、それに気がついた彼が指先に力を込める。


ああ、なんて忙しい数日だったのでしょうか。


でもようやく・・・お互いにらしく過ごせるわねダーリン。


握られた手を握り返して存在を確かめて、慌ただしい騒ぎの終幕を車の中で感じた。


あと・・・、


残るは・・・、






ねぇ・・・。


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