夫婦ですが何か?Ⅱ





そして危機感薄い彼女が一番の悩みのタネであると、眉根を寄せて溜め息を零せば、そのタイミングを計ったようにゆっくりと開く扉。


気がつけば浮遊感皆無の小さな箱は目的である1階に到着しており、その開いた扉からふわり髪をなびかせながら歩きだしていく姿。


でも出て数歩。


思い出したかのように俺を振り返ると感情読まさぬ無表情で俺を見つめ唇を動かした。



「・・・・一応・・・忠告しておいたわよ」


「・・・・・何・・を?」


「奥さんの【無防備】と、それを良しとする存在について、」



言葉足らず。


でも嫌ってほど理解するそれに苦悶の表情で数回頷けば、もう用は無いと後ろ姿の印象強めて遠ざかっていく彼女。


うっかりぼんやりと見つめていると、分厚いドアが痺れを切らし手閉まりかけるのを慌てて押さえて。


何とも言えない葛藤抱きながら外気に触れた。


気分に反して快晴の晴天を見上げて、流れるままに自宅であるマンションを振り返り自室である場所を見上げてしまう。


自然と口の端が上がるのに馬鹿だと思う。


でも瞬時に脳裏に浮かぶ姿が大切で愛おしすぎて隠し切れない。



「本当・・・・・ポケットに入れて持ち歩きたいんだよ。・・・千麻ちゃん」



ぽつりと不可能な言葉を漏らすと、後ろ髪引かれる自宅に背を向け気乗りしない仕事に向かった。






順風満帆。


そう言えていた現状の夫婦生活。







嵐の前の・・・なんちゃら?





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