魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
「マスター・クマゴンがそれを言う?」

 私は涙を拭いながら、努めて明るく言った。

「何よ、あたしが悪人面だとでも言いたいわけ?」
「いえいえ」

 私はあわてて両手を振った。マスター・クマゴンは目元を拭いながら言った。

「気をつけて。あんたたちの無事を心から祈ってるから」
「はい。いろいろとありが……」

 礼の言葉を言いかけた勇飛くんを、マスター・クマゴンが手で制した。

「お礼の言葉は無事に帰ってきてから聞かせてちょうだい」
「……わかりました」

 マスターの言葉に勇飛くんが神妙な面持ちでうなずいた。

「それじゃ、いってらっしゃい」
「はい」

 私たちはマスター・クマゴンに手を振って、ソードマン・ハウスを出た。
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