魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
 私はマスター・クマゴンと一緒に小屋に戻り、庭の片隅に穴を掘って、死んだコウモリを埋めた。

 成仏してね。

 心の中で言って手を合わせた。

「今日は疲れたでしょう。休むといいわ」

 マスター・クマゴンの声に、私は目を開けた。

「でも、休むと言われても、私、自分の家がどこかわからないし……」

 私の言葉に、マスター・クマゴンはもう何度目かわからないため息をついた。

「あんたの預け先だった魔法使いのおばばが死んだときから、あんたはここに居候してたでしょうが」
「えっ」

 オネエキャラとはいえ、担任の男の先生と一緒に住んでたの!?

 その事実に驚愕する私に構わず、マスター・クマゴンは小屋に入った。

「あんたの部屋は屋根裏。そこの階段を上がるの。忘れてるといけないから念のため言っておくけど、トイレは外、湯浴みするなら近くの温泉を使いなさい。村の反対側にある温泉には行かないように。あちらは魔法使いは入浴禁止だから」
「はぁい」

 汚れた血、か。魔法使いってイメージしてたのと違うな。かわいいコスチュームを着た人気者で、たくさん魔法を知ってて、杖を軽く一振りするだけでみんなの役に立って喜ばれて……。
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