世界で1番愛する君へ~君に届けるラブソング~
「カナウ君?……」
そう静かに呟くとその背中は振り返った
見慣れた後ろ姿もその少し天然がかったふわふわの髪の毛も全部カナウ君だとすぐに分かった
カナウ君は何をしているのか誰もいないこの教室の自分の席に座っていた
振り返った瞳は真っ直ぐに私をとらえてしばらく離さない
私もその瞳に飲み込まれるように私とカナウ君はばっちり目があった
静かすぎる教室の中に私とカナウ君の二人きり
ドキドキする心臓は高まるばかりでカナウ君は目をそらしても私はカナウ君から目を離すことはなかった
ねぇ、カナウ君…
「ねぇ、カナウ君何やってるの?」
沈んだ教室のなか私は静寂を切り裂いた野球部らしき掛け声が聞こえたあとにその言葉を発した
カナウ君は返事をくれない
しかしいつものことだから私はそんなことは気にはしない
無言の間のあとに私は自分の用件を思い出し自分の机に歩み寄った
カナウ君の机の上には何やら分からない英語がかかれたテキストと数々の色のペンが広げられていた
私はそんなカナウ君の様子をうかがいながら机の中に手をいれとりあえず単語帳を取り出してからカナウ君の前の席にゆっくり腰かけてみた
勉強か…
さすがカナウ君といわんばかりにノートには英語がびっしりと書かれていた
「残って勉強してたの?」
「うん」
お、返してくれるんだ
それがなんだか嬉しくて私はまた
「カナウ君、どこ受けるの?
県立?私立推薦?」
強引かもしれない
それでもやっぱりしつこくしちゃうんだよ
なんでかな
カナウ君は私の質問に答えてくれなかった
でもカナウ君の動き続ける手は止まらなくてどんどんノートが埋まっていく
静かな教室
二人きり
カナウ君がそばにいる
そんなちょっとしたことでなぜか安心する
今だけは私のカナウ君でいてほしい
私だけを見てほしい
どんどん遠退く意識の中
私の頭はカナウ君でいっぱいだった