in theクローゼット
side-稲葉圭一
* * *
篠塚が、なにを考えているか。
わかるかと言えばわかるし、わからないと言えばわからなかった。
それでも俺は、コイツに応えたい。
そっとふれた頬はやわらかくて、篠塚が女の子であることを強く意識する。
指の腹でなぞった唇は硬く、緊張が伝わってくるようだった。
これって、もしかして篠塚のファーストキスなんだろうか。
そんなことを考えながら、俺は篠塚に――――
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