Love Birthday‥



行き場のない私達は、今は使ってない曇りガラスで囲われたプールに行った。


水が入ってないプールの中に二人で座ると、生ぬるい温度が床から体に伝わってきた。



温かくも冷たくもない、中途半端な生ぬるさ


それはまるで、私達の心の温度みたいだった。





志則が私の首筋にキスをする。


私は志則の背中に手を回し、ゆっくりと抱き締めた。



「初めて?」


志則の質問に、私は首を横に振って答えた。



「……だよね」

ちょこっと微笑んで言った志則。



志則の意味深な笑みに、私はなぜか笑ってしまった。



笑う私に、困ったように笑い返す志則。



本当はこういう時って、もっとドキドキするものだよね?




空は星が見えてロマンチックなのに、

私達にはロマンチックのロの字も似合わない。



ただ、自然な流れで事をすすめていた。






私達には似合わない、綺麗な星空の下で




私は、志則に抱かれたんだ…。
















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