コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~


「判ったよ。ちょっと・・・太陽が眩しくて、立ちくらみおこしてただけ」

 え~、お前大丈夫か?もっと体力つけろよ~、そう幸田がいうのに淡々と頷いた。

「あ、そうだ。先に鍵返してくる」

 荷物を幸田の隣において、俺は顧問に体育倉庫の鍵を返しにいく。

 心の中がごちゃごちゃとしていた。

 自分が今どんな気持ちなのかもよく判らなかった。何だよこれ、結構気持ち悪い状態だな。

 あの青とか、隣の席に座る気になる女子とか。並べられたパレットや筆、ブルーシート、面倒臭いスカイブルーの定義・・・。それから、佐伯のあの言葉。

 負けず嫌い?

 ・・・ああ、そうだよ。めちゃくちゃな負けず嫌いだ。そんで、今日は負けたんだよ、試合に。

 自分がむすっとしているのが判っていた。くそ、女の子のちょっとした発言にこんなに動揺するとは思ってなかった。俺って小さいヤツなのかも。

「航、早く食えよ、時間なくなるぞ~」

「うん」

 午後の練習、それでこの気持ち悪さを忘れれたらいいんだけど。

 もう思いっきりやってやる。ラリーも、筋トレも、球出しも。

 汗と一緒に全部が流れ出るまで。


 その日は結局一日いい天気で、自分達の学校のいつもの場所で練習をする俺達に、また強烈な夕焼けが襲い掛かってきたのだった。




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