コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~
あーうー。何てこったい。ちょっとは仲良くなれたかも、話せるクラスメイトくらいには地位も向上したかもって思ってたけど、席替えで離れたらそんなのなかったことになりそうな予感がする。
俺は凹んだわけだ。そして、次に俺の隣の席にきたのはうちのクラスでも男子にも女子にも人気(らしい)竹崎さんて女子だった。
ほとんど教室におらずいても寝てばかりだった俺は、実は2学期も真ん中の今になってもクラスメイトのことをそんなに知らない。
竹崎ナントカ(下の名前は知らない)。儚い印象のある、綺麗な子。茶色い髪も細くてにこっと白い歯をみせて笑うのがいいと、男子が話していたのを覚えている。だからきっと彼女の隣になりやがってと後で妬まれるだろうなあ、とは思っていたのだった。
宜しくね、横内くん。
そういって笑う竹崎さんは確かに可愛かったと思うけど、その時に凹んでいた俺はろくろく見てはいなかった。
それで、いつでも視界に入るようになってしまったのだ。竹崎さんが。窓際にいる佐伯を見ようと無意識に俺の目は窓側を向く。すると隣の席の竹崎さんが視線を感じるらしく俺の方を向く。そして言うのだ。ちゃんと授業聞いてる?って。
俺は慌てて前を向く。くそ、邪魔すんなよ、そんな気分で。監視されてると思うのはさすがに申し訳ないが、どうもそんな気分だ。竹崎さん、よかったらもうちょっと机そのものを後へ移動させてくんないかな~・・・。
で、今もね。窓の外をみていて注意されたわけなんだけど・・・。ああ、もう。
もう一度ため息をついて教科書をパラパラとめくる。
授業はまだ、終わりそうにない。