にせパパ、はじめました。
「名前……ねぇ」




正直、この歳で子供に命名するとは思ってもなかった。


二十歳過ぎたくらいに結婚して、家族が出来て、子供が出来て。

そう思ってたのだが……


「名前……?わたしの?」

「おう…………でも、どうするもんなのかな……」


仮にもしもの話で、この子に親がいたとしたら本当の名前があるはずだ。




…………本当に、いいんだろうか。



たまたま会って、いきなり家へと連れてきたあげく、名前までつける……


この子の親は、どう思うだろう。






「…………じゃあ、名前じゃなくて、ニックネームにしよう……」



もしこの子の親に会ったときも、事情を説明すれば、ちゃんと理解してもらえるはず。


ややこしくならないためにも、「ニックネーム」なら、誰もなにも文句は言わないだろう。


「……んー………にっくねーむ……にっくねーむ…………」

「女の子のニックネーム……か………普通なら本名からいじるしな…………んー……」


二人で頭をひねる。










……そうだ……………


俺が「夏」だから………………




「……よし、それでいこう」


「…!」



確かに適当かもしれない。






けど










「君の名前は………………





「冬」だ」











…………結構






いいニックネームじゃないか?



















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