【完結】遺族の強い希望により
最初はそんな短い文章で、ただ気持ちを伝えあうだけの甘ったるい内容が続いた。
ほんの一時の熱に浮かされた幼い恋心。

初めから期間限定であることを互いに分かっていたが故に、それ以上は踏み込めない恋人ごっこ。

拙い日本語はストレートで、それに乗せられるように隆司のページも日本人男子らしからぬあからさまな愛情表現で埋め尽くされていた。


それがページを追うごとに、少しずつ内容が濃く、深くなっていく。

2人がどのように時を共有し、どんな風に互いを想い合い、どう影響し合い、その時がどれだけ幸せで輝いていたのか――いつの間にか日記に目を走らせるみのりの中には、彼らに終わりの時が来ないよう祈るような気持ちすら湧いていた。
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