【完結】遺族の強い希望により
隆司の子を妊娠したことに気が付いたくだりで、日記は一旦途絶えていた。
そして再開するのは、出産後である。


「なんてこと……」

「知らなかったんだな、お前の親父さんは」


みのりと亮は、玲奈の様子を心配して顔色を窺う。
父に自分以外の子どもがいたという事実はショックだったに違いないが、玲奈は先ほどのように取り乱すことはなかった。


「どうして……ジェシカは、父に報せなかったのかしら」

と、口にした疑問も真っ当なものだ。

彼らのなれ初めから別れに至るまでを事前に目の当りにしたばかりだからか、彼女は極めて客観的に、その事実を受け止めたようだった。
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