【完結】遺族の強い希望により
オーストラリアから母が父を連れ帰るのを待っている間、ネットの中傷に辱められ、鳴り続ける悪戯電話に苦しめられ、母からも真実を誤魔化された。
玲奈は父に裏切られ、世間からは罵られ、母にまで騙されたのだ。


同じ大学に通っている亮は父の死の連絡を受けた時にたまたま近くにいたが、その彼を除けば、沢山いると思っていた友達の中で連絡をくれたのはみのりだけだった。

きっと父が死んだことなど誰も知らないか、知っている者の耳には既に悪い噂も入っているに違いない。
死後にバッシングを受けるような男の娘とは、関わり合いになりたくないと思われているのだ。


1人家にいて誰とも話せぬ間に、傷付いた心はどんどん蝕まれ、猜疑心の塊のようになっていた。


帰国した母は葬儀屋や寺の手配対応に追われ、それが落ち着いたと思ったら話をする間もなく倒れて寝込んだ。
そうして迎えたのが今日だ。
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