【完結】遺族の強い希望により
ジェシカとは真夜中に、美和子が宿泊するホテルの部屋で、人目を避けるように再会した。

正直に言えば美和子は既に心も身体も疲弊しきっていて、全てを受け入れる覚悟など到底しきれていなかった。
しかし延ばせば解決する問題ではない。
ならばさっさと済ませてしまいたかった。

深夜にも拘らず相手を呼び出したのは、美和子の方である。


「ごめんなさいね、こんな時間に」

と、部屋に招き入れる際、一応は相手を気遣う言葉をかけたが、上辺だけ取り繕ったに過ぎない。
身体はへとへとで心は傷だらけの今、こんな時間になってまでこの女の顔を見たくないと思っているのは美和子の方だった。
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