【完結】遺族の強い希望により
「クロエはその後、すぐにリュウを助けに向かいました。けれど結果は――」

ジェシカの長い長い話は、そうフェードアウトして終わった。


エラに隆司を父親だと思い込ませたまま放置した、事の発端であるジェシカの罪は20年近く昔にまで遡る。
それとも、エラに本当の父親のことを話せないような出産の仕方をした40年前こそが真の発端と呼ぶべきなのだろうか。

産んだことが罪なのか、隠したことが罪なのか、それとも身籠ったこと自体が罪なのか。
結ばれないと分かっていて隆司と愛し合った、幼くも真剣な恋自体が罪だったのか。

或いは、その全てか。


ジェシカが娘との会話の中で核心に触れることを避け続けた結果、エラの中には捻じ曲がった誤解が育っていった。
それはエラの娘・クロエにもそのまま受け継がれ、そしてこの最悪の事態を招いた。
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