【完結】遺族の強い希望により
が、隠ぺいを思わせるテロップも杉下右京のセリフも、引きこもっている内に半ば廃人と化しているみのりを突き動かすほどの刺激にはならない。

みのりにとっては所詮、赤の他人に起きた出来事だった。

2時間のドラマが終わる頃には、彼女はその速報のことを忘れ去っていた。

番組はそのまま夕方のニュースに切り替わるが、TVに興味を失ったみのりは部屋に閉じこもり、今度は惰眠を貪る。


携帯が数ヶ月ぶりのメール着信を知らせる、その瞬間まで。
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