【完結】遺族の強い希望により
立ち話をしていると、家の中から声がかかった。
あがってもらいなさい、と外まで響く声をあげているのは玲奈の母親だ。

リビングのカーテンは開いていて、思っていた通り、外からは庭越しに、中の様子が開放的に窺えた。


「おばさんも元気そうね」

「なんだかね、私が大学に戻ったらパートにでも出ようかななんて言って張り切ってる」

ふふふ、と笑いあいながらいつまでも立ち話を続けようとする女2人を、亮が呆れた様子でせっつく。

「おい、早く入れろよ。この顔あんま人に見られたくねえんだから」

住宅街でそう人通りがあるわけでもないのに、周囲を気にしていた。

「勲章じゃない。見せびらかしとけばいいのよ」

「ね、一体何があったの?」

「だから、入れってば! 中で話しゃいいだろ中で!」


穏やかな晴れの日だった。
亮と玲奈が通う大学の冬期休暇も終わりに近づき、再び地元を離れる時が訪れようとしている。
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