【完結】遺族の強い希望により
20分ほど歩いたところにある、寺と隣接した墓地の一角が目的地だ。
到着する頃には陽が落ちていて、残光が淡く辺りを包んでいた。
背の高い木々に覆われた敷地だが、葉が落ちた枝の隙間から入り込むそれのおかげで真っ暗闇ではなかった。
薄暗くなったこの時間の墓地に参っている者は他に誰もいない。
頭上では人の気配に驚いたのか、突然烏が声をあげて羽音を鳴らし飛び去った。
不思議と、不気味さはなかった。
3人の遺族が並んで、自らの、そして互いの故人のために手を合わせた。
線香の煙が高く昇る。
その先にいるのだろう、先に天に上ってしまった者たちが。
「玲奈のお父さん、うちの子可愛がってくれてるかしら」
「子ども好きだったのよ凄く。きっとデレデレだわ」
「あ――、一番星」
空を指した亮を2人は笑った。
彼は目が悪くてひとつしか見えてないのだ、既にいくつか星が瞬いているのに。
「約束しよう、あの星に。生きよう、強く」
「うん、亮でも見える、あの一番おっきなやつにね」
「お前な……あー、クソッ」
見上げた空に、星に誓う。
そこにいるだろう人に、遺された者は、固く約束をした。
【完】
以下 あとがきにあてさせていただきます。
【遺族の強い希望により死因は公表されておりません】
その言葉と共に訃報を報じられたのは友人のお父様でした。
ご冥福と、ご遺族が今幸せであることを祈ります。
最後まで閲覧ありがとうございました。
【遺族の強い希望により死因は公表されておりません】
そういう報道があったことは事実ですが、人物をモデルにした、というわけではありません。
(その方は学校の先生でもありません)
勿論ストーリーも完全にフィクションです。
私は亡くなった方がどういう方だったのかも、どんな人生でどんな死に方だったのかも知りませんので、同一視はされないようお願いします。
【遺族の強い希望により死因は公表されておりません】
悪意を感じる文言でした。
経緯も裏事情も知らない私はこう聞かされれば「隠ぺいか」と思います。はい、思いました。
(思わない人もいるのでしょうが、私は思う側の人でした)
亡くなったのが友人の父でなければ、その文言に潜む悪意に気付きもしなかったかも知れません。
……悪意?
本当に悪意だったのかな。
真実を伝えるために、その文言が必要だったのかもしれません。
何度も言いますが私は真実を知らないので、いくら考えても正解には辿り着けないのですよ。
誰かの立場に立ったらそれが正義だったのかもしれない。
知る権利、伝える義務。
私は遺族の友人の立場から、怒りを覚えた。
けれど一聴衆だったらば、なんで隠すんだよって思ったでしょう。
『物事の両側面が見えるのは読書の弊害だわ』
(風と共に去りぬより。スカーレット・オハラ)
自分で書くことで、その報道の裏側に隠れたものを見に行きました。
真実は調べていません。
しばらく会っていなかった友人のお父様ですから(みのりと玲奈のような親友だったらともかく)、興味本位で覗いちゃいけないという自戒もありました。
私が望まない形のものが出てきてしまったらどうしようと怖かっただけかも知れません。
だからか、お話は私が望む形に終着しました。
――あなたは裏側に、何を見ましたか?
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました*^^*
2015/03 椙山茉莉
到着する頃には陽が落ちていて、残光が淡く辺りを包んでいた。
背の高い木々に覆われた敷地だが、葉が落ちた枝の隙間から入り込むそれのおかげで真っ暗闇ではなかった。
薄暗くなったこの時間の墓地に参っている者は他に誰もいない。
頭上では人の気配に驚いたのか、突然烏が声をあげて羽音を鳴らし飛び去った。
不思議と、不気味さはなかった。
3人の遺族が並んで、自らの、そして互いの故人のために手を合わせた。
線香の煙が高く昇る。
その先にいるのだろう、先に天に上ってしまった者たちが。
「玲奈のお父さん、うちの子可愛がってくれてるかしら」
「子ども好きだったのよ凄く。きっとデレデレだわ」
「あ――、一番星」
空を指した亮を2人は笑った。
彼は目が悪くてひとつしか見えてないのだ、既にいくつか星が瞬いているのに。
「約束しよう、あの星に。生きよう、強く」
「うん、亮でも見える、あの一番おっきなやつにね」
「お前な……あー、クソッ」
見上げた空に、星に誓う。
そこにいるだろう人に、遺された者は、固く約束をした。
【完】
以下 あとがきにあてさせていただきます。
【遺族の強い希望により死因は公表されておりません】
その言葉と共に訃報を報じられたのは友人のお父様でした。
ご冥福と、ご遺族が今幸せであることを祈ります。
最後まで閲覧ありがとうございました。
【遺族の強い希望により死因は公表されておりません】
そういう報道があったことは事実ですが、人物をモデルにした、というわけではありません。
(その方は学校の先生でもありません)
勿論ストーリーも完全にフィクションです。
私は亡くなった方がどういう方だったのかも、どんな人生でどんな死に方だったのかも知りませんので、同一視はされないようお願いします。
【遺族の強い希望により死因は公表されておりません】
悪意を感じる文言でした。
経緯も裏事情も知らない私はこう聞かされれば「隠ぺいか」と思います。はい、思いました。
(思わない人もいるのでしょうが、私は思う側の人でした)
亡くなったのが友人の父でなければ、その文言に潜む悪意に気付きもしなかったかも知れません。
……悪意?
本当に悪意だったのかな。
真実を伝えるために、その文言が必要だったのかもしれません。
何度も言いますが私は真実を知らないので、いくら考えても正解には辿り着けないのですよ。
誰かの立場に立ったらそれが正義だったのかもしれない。
知る権利、伝える義務。
私は遺族の友人の立場から、怒りを覚えた。
けれど一聴衆だったらば、なんで隠すんだよって思ったでしょう。
『物事の両側面が見えるのは読書の弊害だわ』
(風と共に去りぬより。スカーレット・オハラ)
自分で書くことで、その報道の裏側に隠れたものを見に行きました。
真実は調べていません。
しばらく会っていなかった友人のお父様ですから(みのりと玲奈のような親友だったらともかく)、興味本位で覗いちゃいけないという自戒もありました。
私が望まない形のものが出てきてしまったらどうしようと怖かっただけかも知れません。
だからか、お話は私が望む形に終着しました。
――あなたは裏側に、何を見ましたか?
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました*^^*
2015/03 椙山茉莉

