【完結】遺族の強い希望により
四角い缶は、海外――恐らくはオーストラリアの、菓子の空き缶のようだった。
ポップで可愛らしくはあるが、原色使いが多く少々派手なデザインだ。

もしもこれがもっと落ち着いた箱であったなら、祭壇の下に隠されていても何も違和感を覚えなかったかもしれない。
香典だとか葬儀関係の書類でも一時的に保管しているのだろうと思って納得しただろう。


この家のインテリアはどこも柔らかく落ち着いた雰囲気に統一されていて、イメージがかけ離れる。
家人が好んでこの缶を取っておいたとはどうにも考えられなかった。

この缶の持ち主はもしかすると、オーストラリアの『ホストファミリー』なのかもしれなかった。
< 86 / 450 >

この作品をシェア

pagetop