【短編】 過多想い
志田君の体の横からすこしズレて陽大を見た



すごく切なそうな顔に胸が痛む


キューって締め付けられて

思わず胸元のシャツを握り締めた



「楠瀬の事あれだけ傷つけといて
 今更よくそんな事言えるな~!!」


志田君の声からはすごい怒ってるのがわかる


楠瀬さんが楠瀬になってるし…



でも、陽大も顔がすごく怒ってる



「おめーに俺らの何がわかるんだよっ」


「楠瀬があれだけ辛い顔をしてたんだ
 俺は楠瀬に辛い思いさせねーし俺が貰う」


ガッ

陽大が志田君の胸ぐらを掴んだ


「心愛は俺のもんだ」

バキッ


陽大の右ストレートが志田君に命中した


志田君は少しよろけて
シャツで口元を拭った







止めなきゃ…


でも足がすくんで動けない




「見城には楠瀬を幸せに出来ない
 苦しんでいるのにも気づかなかったくせによ」



「俺は…確かに気づかなかったバカな男だよ
 だけど、誰よりも心愛が好きだし
 誰よりも守ってやりてーと思ってる
 心愛を幸せに出来るのは俺だけだ」



陽大…


思わず駆け出して陽大に抱きついた


陽大が力強く抱きしめてくれる


その言葉を聞きたかった


欲しかったんだ…

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