【完結】bitter step!
プールから視線を逸らすと、正面には生徒会室の扉が見える。

あそこにはもう、誰もいない。
純平も、美紗も、――響先輩も。


響先輩は、ボクたち3人の閉ざされた関係の中に突然投げ入れられた石だった。

穏やかだった水面には波が立ち、底に蓄積されたモノを巻き上げた。
濁った水の中で、ボクは、ボクたちは、何かを見失ったのかも知れない。


あの人がもし、現れなければ……


違う。
先輩は何も悪くない。

澄んでいると思い込んでいた、或いはそう思いたかった水は、初めから濁っていた。

彼はきっかけになっただけ。
それは多分、……ボクたち3人に、必要な変化だったのだ。
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