【短】Another Platonic
「ねーねー。卓巳ぃ。今日マミんち寄ってけば?」



甘ったるい声で、自分のことを名前で呼ぶ子やった。



「ん~。でもお前の親父さん、怖いしなあ」


「今日はパパもママも帰り遅くなるって言ってたから平気っ」


「マジで!?」


「あっ。今エロいこと考えたやろ!」


「考えてへん、考えてへん。
じゃー、行こっか♪」



ええ。“♪”の部分に下心がミエミエなのは自分でもわかってます。


あの年頃の男なんて、異性を見ればイケるか否か、それしか考えてないしね。


でも別に、マミちゃんのことを適当に扱ってたわけちゃうで。

ちゃんと好きやった。
当時の俺なりに。



「あ~あ。マミも女子高なんか入らずに、卓巳と同じとこ行けばよかったなあ」


うちの制服を着た女子を見るたび、そうボヤいてたマミちゃん。


可愛い子やったな。


お嫁さんになるのが夢って言ってたから、きっともう誰かと結婚してるんやろな。

しみじみ。





……で。肝心の葵ですが。


あの後、特に接点もないまま過ごしてたんやけど

そんな俺らを再び結びつける出来事があったんだ。



高校2年の、クラス替え。



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