【短】Another Platonic
「華岡……さん?」



一瞬、名前を呼ぶのをためらった。


だって彼女はこの場所では、“華岡綾乃”じゃない別の名前で呼ばれていたから。


俺の記憶のイメージとはかけ離れた、今にも胸が見えそうなワンピース姿。

化粧は相変わらず薄いけれど、どこか大人びた気がした。



「河本くん……」


「なんで華岡さんがこんなとこにいてんの?」


うっかり出た“こんなとこ”という言葉に、華岡の顔が一瞬こわばる。


「あ、ごめん……俺、無神経なこと言うて」


「ううん」


華岡は悲しげに笑い、首を振った。


なんやろう……
この気持ち。

驚きよりも、やるせなさが胸に広がっていく。


「お風呂、入ろっか」


華岡がワンピースの肩ひもに手をかけたとき、思わず俺は叫んだ。


「待って! 何もせんでいいから」


「え?」


「そんなことより、普通に話とかしようよ。久しぶりに会ったんやし」


「……」



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