叶えたい花。
代わり

こいつ、いつから待ってたんだ?

 今日に限って、陽輝は迎えに来なかった。いつも時間には正確で、自分自身の一分の遅れも許さないくらいの陽輝。それなのに、約束の時間である五時半になっても陽輝は来なかった。
 珍しいなとは思いつつも、お互い高校生だしこういうこともあるかということで、一様、一時間くらいは待ってみることにしてみた。
 夕日がこの田舎町を染めていく中、陽輝は一向に現れなかった。
 そして、遠くの空に星がぽつぽつと出てきた頃、聞き覚えのある声が斜め後ろから聞こえた。

「あれ…?…お前…、…誰待ち?」

 小刻みに震えていた私に目を細めながら声をかけてきたのは、私の待っていた陽輝ではなく、こういうことではなるべく会いたくなかった甲斐先輩だった。

「甲斐…先輩…?今部活帰りで…?」

 予想外な人物の登場に、少し驚いたけど、

「お前…、寒いのか…?風邪…?」

 甲斐先輩も、私を見て動揺してるみたいだった。
 そんな甲斐先輩のちょっと意外な反応に、私はまともにこう言ってしまった。

「すいません、ただの寒がりです」

「あんだよも~、心配して損したぜ…。お前、帰らねえのかよ?」

 大小様々な声で私にそう言ってきたので、私はこう返した。

「もう少ししたら帰ります」

 でも、相変わらず甲斐先輩は

「なんで?」

 と聞いてきた。私は、愛想笑いをしたけど、今の甲斐先輩には通じなかった。その証拠に、

「あんでだよ?」

 ともう一度聞いてきたのだ。私は、
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