その笑顔に惹かれて



名刺をもらってすぐに電話を掛けなかった事を悔やみ続けた俺は、入社式で彼女を見かけて、その日のうちに飲みに誘って、勢いに任せて告白をした。
連絡がないから友達にすらなれないのかな、って落ち込んでたのに、と彼女は笑って、この数ヶ月蔵木くんの事ばっかり考えてたよ?と少し泣いた。



研修期間を終えて暫らくした後、先に地方(北海道)転勤になったのは俺で、その後彼女も京都へ転勤。
先に本社に戻って来たのは俺で、遂に先日、彼女にも本社勤務の辞令が下りた。



入社から五年。長い長い遠距離恋愛を経て、漸く二人揃って東京で暮らせる事になった。
それを機に一緒に暮らしたいと言ったのは彼女で、それなら、とプロポーズをしたのは俺。

漸くここから、二人ではじめる事ができるのだ。



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