モテないオトコ
第二章:魔法使い遊園地に行く
 少し眠いが待ち合わせより少し早い時間に向かう。
 遅刻は厳禁、遅刻は厳禁。

「早いですね」

 すると橘さんは、既にそこにいた。
 俺は、うつむいたまま地面に言葉を放つ。

「あのすみません……」

 聞き取れるか聞き取れないかそんな声だった。
 気持ち悪がられるかな……
 それに、女を待たせる男なんて最低だ。
 こんなこと、幼稚園児でもわかる。

「あやまらなくてもいいんですよ。
 私、待つの好きなんです。
 変わっているって、よく言われているんですけど……
 私ね、待っている間のいろんなことを妄想して遊ぶの楽しいんです」
 
「妄想?」

「あ、ごめんなさい」

 俺の問いに橘さんの表情が暗くなる。

「妄想女って引きますよね?」

「え?気にはならないですよ。
 うん、俺もよく妄想するし」

「本当ですか?」

「うん」

 それを聞い橘さんの表情がパッと明るくなる。

「よーし!妄想部隊発進だー」

 橘さんはそう言って俺の手を握りしめる。
 そして、俺はこのとき初めての大人の階段をまた一歩登った。
 女の子と手を繋ぐ。
 モテない男が、一度でも夢見た世界。
 それは、女の子との腕組、手つなぎ、ひざまくら、耳かき………その他いっぱい。
 童貞会伝説の一歩。手つなぎを俺は経験している。
 千のデートは、タッチから……
 
 ――私信、かみさまこんなチャンスをくださりありがとうございました――
        俺、無事に大人に一歩近づきました……

 本当にありがとう。
 俺は、そう願い太陽を見た。

「ハクション!」

 くしゃみが出た、そうだった俺は太陽の光を見るとくしゃみが出るんだった。
 無念なり……
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