良い子とは呼ばせない
「やーだよっ!」



突然、まどかは私の手を振りほどいて、廊下を全速力で駆け出した。



「バカ!」



慌てて私も彼女を追いかける。
だが、体育教師ですら捕まえられない彼女のすばしっこさに私が適うはずもなく、あっという間に姿を見失ってしまった。



「また先生に報告しにいかなきゃ……」



7月の校舎を全速力で駆け抜けたせいで制服は汗びっしょりになってしまったが、何故かそれが今の私には心地良かった。
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