腹黒王子の取扱説明書
「一人で外出しない。社内でも人気のないとこには行かない。いい？」

やっと抱擁を解いたかと思うと、今度は私の瞳をじっと見つめてくる。

「幼稚園児じゃないんだから大丈夫ですよ。だから、仕事にちゃんと集中して下さいね」

「幼稚園児じゃないから逆に心配なんだよ。わかってないよね？」

俊が恐い目で私を睨む。

「俊さん、そろそろ時間じゃないですか？」

海里が俊に声をかけると、俊は腕時計にチラリと目をやった。

「ああ」

俊が私の髪にそっと口付け、私の耳元で囁くと私のうなじに触れた。

「このキスマークが消えるころには帰るから、誰にも触らせるな」

私が赤面すると、俊はクスッと笑いながらも名残惜しそうに私から離れる。

何その俺様発言。勝手な事ばかり言って。

胸がキュンと高鳴る。
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